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まだ発売前なのに、OM SYSTEM PENは発売日を29日遅らせた
PENは、オリンパスが1959年に始めた往年のカメラシリーズ。その約10年ぶりの復活作がこの一台で、売りはスペックではなく「フィルムらしい写り」だ。
10月30日 → 11月28日
29日の延期 · 約1か月の後ろ倒し
日本の発売日を変更 · OMデジタル公式告知(2026年10月21日)
翌日
発表の翌日、最初の遅延告知が出た
2026年9月9日発表 · 9月10日に告知
2027年春
最も遅い予約の納品見通し
10月7日の告知にあり、撤回されていない
ボディ ¥148,500から · 393g · 電子ビューファインダーは約10年ぶりの搭載
予約が想定を超えたことは公式に確認された。ただし予約台数も生産台数も、実際の需給の差も公表されていない。
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1か月のあいだに、告知は1通ごとに重くなった
9月9日 · 発表
発表と予約開始。当初は10月下旬に日本で発売
9月10日 · 告知1通目
発表の翌日:一部の予約について、納品が11月以降に
10月7日 · 告知2通目
発売日は10月30日に決定。同時に、機種・色によっては2027年春以降の納品もと警告
10月21日 · 告知3通目
日本の発売を11月28日へ延期:9月10日までに予約した人の分を確保してから発売する
理由は3通とも「予約が想定を超えた」の一貫で、部品や工場、物流に触れた告知は1通もない。10月31日時点で、OM公式サイトの製品ページの「発売日」欄は今も「2026年10月下旬」のままだ。日付は告知を正とする。
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遅れたのは、ボディ側だけ
11月28日へ延期
価値の源ボディ(シルバー/ブラック)、14-42mmキット、ダブルズームキット
主な販路新バッテリーBLS-7、充電器BCS-7も同じ延期に
リスクOMデジタル10月21日の公式告知
予定どおり発売:10月30日
価値の源同時発表の交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」単体は、延期の対象に入っていない
主な販路OMデジタル10月21日の公式告知
リスク遅れはボディと新しい付属品に限られた——「供給網全体の停止」という読みは、傍証を一つ失う
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カメラが売れない10年のあいだに、コンパクトは2年伸びた
2025年は台数+29.6%、金額+48.9%——台数より速く伸びたのは価格だ。PENはレンズ交換式でこの表には入らない。だがこの表を作った買い手こそ、PENが迎えたい相手だ。
同じ見誤りを、富士とリコーは先に犯した。X100VIは前機種の2倍の需要で計画し、月産約1万5000台(Reuters)でも品薄が長期化。GRシリーズは2024年に全機種の受注を止め、抽選に移った。どちらの計画表にも、既存ユーザーしかいなかった。
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なぜ一部だけ先に売らないのか。答えは告知の中にある
購入体験の層
初日を抽選にしない
公式の文面にある判断
全員が29日待つ代わりに、最も早い予約者は初日に確実に受け取れる。延期は配分の選択であり、生産の問題だけではない
供給の層
OMデジタルソリューションズ
JIP傘下・非上場
2021年にオリンパスの映像事業を引き継ぐ。販売・生産台数は非公表で、備えは最も堅い量から決まる
ベトナム・ドンナイ省の工場
唯一の生産拠点
2008年から生産。多品種・少量が常態で、ロットの追加は月単位の話だ
備えすぎれば即座に在庫の損失、不足なら謝罪と延期。計画表は小さく置かれがちだ。需要予測・供給計画・購入体験の3層は本稿の分析の枠組みであり、会社が公表した内部の理由ではない。
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すでに予約した人と、まだの人
9月10日までに予約した人
価値の源今回の延期が守る相手だ。この層の分を先に確保し、11月28日に初日納品する
主な販路10月21日の公式告知
リスク29日長く待つ代わりに、初日の確実さを得る
9月10日より後に予約した人
価値の源尾は残っている。機種と色によっては2027年春以降の納品も、という警告は撤回されていない
主な販路10月7日の公式告知
リスク最も遅い層がどれだけ待つかは、今も分からない
まだ予約していない人
価値の源発売は11月28日。埋め合わせはキャンペーン側にあり、応募締切は5か月延びて2027年4月19日に。購入対象期間は不変
主な販路10月21日の公式告知
リスク発売当日の行列の長さが、次の信号になる
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判断:確認できること、推し量ること、分からないこと
公式に確認できること ——予約は当初の想定を上回った。告知3通の理由は、この一文だけだ。予約台数も、初回生産分も、需給の差の数字も、OMは一つも公表していない。 本稿の推論 ——①初回分は既存ユーザーの規模で決められた(需要予測の層)。発表の翌日に謝罪が出た以上、最初のロットは発表当日に埋まったとしか読めない。②需要そのものが構造的に過小評価された(同じ層の深い原因)。コンパクトの2年連続の伸び、倍の備えでも足りなかった富士、受注停止から抽選に移ったリコーは、計画の外の同じ買い手を指す。③延期そのものは配分の選択だ(購入体験の層)。公式の理由は、初日に受け取れる人を一部に限らないことにある。 証拠がないこと ——部品不足。中核部品はOM-5 IIと同型の現行品で、同時発表のレンズ単体は予定どおり発売された。意図的な品薄。謝罪3度と、キャンペーン締切の5か月延長という埋め合わせは、希少性を作る動きとは逆だ。
0件
OMが公表した、予約台数・生産台数・需給差の数字
本稿の判断は、文面と振る舞いから読むしかない——ここが証拠の境界だ
11月28日が検証日になる。数週間で供給が平常化すれば推論は成り立つ。再び受注が止まり2027年春へずれ込めば、制約は生産能力の側——判断を書き直す。たちまち売れ残れば、前提が誤りで、本誌は訂正を出す。
OM SYSTEM PENは2026年9月9日に発表・予約開始、翌10日にはお届け遅延の告知が出て、10月21日には日本の発売が11月28日へ延期された。告知3通の理由は予約超過で一貫し、部品不足への言及はない。予約台数と生産台数は公表されていない。CIPA統計ではレンズ一体型の出荷が2年連続で増え、富士もリコーも計画外の需要に突き破られた。
要点
- 経緯:2026年9月9日に発表・予約開始。9月10日に1通目の告知(一部の納品が11月以降に)。10月7日に発売日を10月30日と決定し、機種と色によっては2027年春以降の納品になる場合があると告知。10月21日に日本の発売を11月28日へ延期。理由は3通とも予約超過で、部品不足への言及はない。予約台数・生産台数は公表されていない。
- 製品:OM SYSTEM PEN、マイクロフォーサーズのレンズ交換式カメラ。ボディ¥148,500、14-42mmキット¥165,000、ダブルズームキット¥176,000(いずれもOM直販・税込)。有効約2,037万画素センサーとTruePic IXはOM-5 IIと同型。シリーズ初の防塵・防滴(IPX1)、約10年ぶりの電子ファインダー内蔵。重さ393g。
- 延期の範囲:ボディ、2種のキット、新バッテリーBLS-7、充電器BCS-7。同時発表の交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」単体は10月30日に予定どおり発売。発売記念キャンペーンの応募締切は2026年11月19日から2027年4月19日へ延長され、購入対象期間(9月9日–11月5日)は不変。
- 需要の気候(CIPA):世界のレンズ一体型カメラは2025年に2,436,911台(+29.6%)、金額+48.9%で、2年連続の増加。2026年1–8月も+15.3%と伸び、同じ期間にカメラ全体の出荷は−3.2%。日本国内の2025年は金額で+62.0%。
- 同業の前例:富士フイルムX100VIは前機種の2倍の需要を見込んだ生産計画(富士フイルム公式の世界的告知)を組み、月産約1万5000台(Reuters報道)でも品薄が続いた。X100Vは2022年11月に受注を停止したまま再開せず、生産を終えた。リコーGRシリーズは2024年3月に受注を一時停止し、同年8月から一部を抽選で再開した。
- 会社の背景:OMデジタルは2021年1月1日にオリンパスから映像事業を引き継いだ(JIP傘下の特別目的会社が株式の95%を取得)。生産はベトナム・ドンナイ省(2008年から)、分離時点の従業員は世界で約2,000人。非上場で、予約台数も生産台数も公表されたことはない——本稿では推計しない。
公式に確認できるのは、予約が想定を超えたことだけで、実際の需給差は公表されていない。本誌の推論は、その先にある。今回の品薄は、意図的なものでも、部品不足でもない。OMが自社の既存ユーザーの規模で新型PENの初回生産量を決めたところに、富士X100とリコーGRがすでに証明した、計画データの外にいる新しい買い手が重なった。少なく見積もったのは初回ロットで、見落としたのは人だ。
まず顔ぶれ:この品薄に登場するのは誰か
OMデジタルソリューションズ——PENを作る会社。2021年にオリンパスの映像事業を引き継ぎ、親は投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)、社長は杉本繁実。非上場のため、販売台数も生産台数も利益も公表されない。本稿の「どれだけ備えたのか」という判断は、財務諸表からではなく、告知の文面と同社の振る舞いから読むしかない。
予約した人たち——実は2つの集団だ。一つは、前機種E-P7(2021年)から5年待った既存ユーザーで、手元にはマイクロフォーサーズのレンズがある。もう一つは、X100やGRに先に「教育」された新しい買い手で、スマートフォンで写真を覚え、「カメラらしい姿のカメラ」を求めている。OMの計画データにいたのは、前者だけだ。
富士フイルムとリコー——同じ病にかかった2社。X100シリーズとGRシリーズは、この4年、品薄・受注停止・抽選販売を繰り返してきた。PENの競合であり、同時に格好の需要の証拠でもある。計画の外にいる買い手の大きさを、2社はOMの代わりに測ってくれた。
CIPA(カメラ映像機器工業会)——業界統計の発信者で、本稿の出荷データはここから取る。分類上の注意として、PENはレンズ交換式であり、「レンズ一体型(コンパクト)」の統計には入らない。この表の伸びが示すのは気候であって、PEN自体の販売ではない。

一、発表の翌日、謝罪が先に来た
9月9日午後、OMデジタルは新型PENを発表した。OM SYSTEMの名を冠する初のPENで、予約受け付けを開始し、発売は10月下旬とされた。翌9月10日、最初の告知が出る。予約が多く、一部の顧客への納品は11月以降になる、という内容だった。
それで終わらなかった。10月7日、同社は発売日を10月30日に正式決定する。ところが同じ文書には、もっと重い一文があった。すでに予約している人でも、機種と色によっては納品が2027年春以降になる場合がある、というのだ。さらに2週間後の10月21日、3通目の告知が出る。発売そのものを11月28日へ延期する。公式の理由はこうだ。予約数が当初の想定を大幅に上回り、10月30日に発売すれば当日に製品を受け取れる顧客が一部に限られる。ならば「9月10日の告知までに予約した顧客の分」を確保してから発売するのが適切だと判断した、という(脚注の定義では、同社が9月9日・10日に受注を確認した予約が対象だ)。
3通を並べて読むと、2つのことが分かる。第一に、文面は1通ごとに重くなっている。「一部が遅れる」から「来春以降になる人もいる」へ、そして「発売自体を遅らせる」へ。第二に、理由は終始「予約が想定を超えた」の一文だけで、部品の調達や工場、物流に触れた告知は1通もない。日本のカメラメーカーは、本当に部品が詰まればそう書く。リコーが2025年にGR IIIの製造終了を知らせた理由は「部品調達の都合」だった。OMは一度もそう書かなかった。
事実
3通の告知のほかに、ずっと欠けている数字がある。予約そのものの台数だ。OMはPENの予約台数も、初回生産台数も、月産能力も公表しておらず、本稿も推計はしない。確かめられるのは振る舞いと言葉だけだ。謝罪は発表の翌日に出た。延期の目的は「最も早い予約者を守る」ことだった。埋め合わせとして、発売記念キャンペーンの応募締切は5か月延ばされ(2026年11月19日→2027年4月19日)、特典のコースも追加された。もう一つ、情報のずれがある。10月31日時点で、OM公式サイトのPEN製品ページの「発売日」欄は「2026年10月下旬」のままで、告知3通に追いついていない。日付は告知を正とする。
二、PENとは何か:「姿」を売る日常のカメラ
PENの名は1959年のフィルムのハーフサイズカメラに始まり、売り物は67年間変わらない。小さく、軽く、美しく、毎日持ち出せること。新型PENはその系譜の最新の1台で、マイクロフォーサーズセンサー、有効約2,037万画素、レンジファインダー風のフラットな上面、銀と黒の2色を備える。
新しさはすべて「日常」に向いている。PENシリーズで初めて防塵・防滴(IPX1、防滴レンズとの併用時)に対応した。電子ファインダーはPEN-F以来、約10年ぶりに戻った。前面のレバーでは色とモノクロの「フィルム」プリセットを呼び出し、ファインダーをのぞきながら色を追い込める。一方で心臓部——センサーとTruePic IXエンジン——は自社の現行機OM-5 IIと完全に同型で、新規開発の中核部品はない。
価格も「誰に売るか」を語る。ボディ¥148,500、標準キット¥165,000、ダブルズームキット¥176,000(いずれもOM直販価格)。コレクターの玩具の値段ではなく、主力機の価格帯だ。公式発表は対象を「熟練の愛好家から、始めたばかりの人まで」と広く書いた。問題はまさにこの「広さ」にある。生産量を計画する段になって、同社の手元のデータにあったのは、愛好家の側の半分だけだった。
三、需要の側:コンパクトはもう2年伸びている
まず気候を見る。CIPAの統計では、世界のレンズ一体型(コンパクト)カメラは2023年に約170万台の底を打ち、2024年から2年連続で増えた。2025年の出荷は2,436,911台で前年比+29.6%。金額はもっと速く、+48.9%伸びた。買い手は安い小型カメラを買っているのではない。X100やGRのような、高価格で「フィルムの質感」をうたう機種に払っている。日本国内はもっと顕著で、2025年は台数+19.7%、金額+62.0%。2026年1–8月には世界のコンパクトがさらに+15.3%伸び、同じ期間にカメラ全体の出荷は−3.2%だった。業界全体が縮むなかで、この一角だけが伸びている。
2,436,911台
2025年の世界レンズ一体型カメラ出荷台数(CIPA)
前年比+29.6%、金額+48.9%:伸びたのは台数だけではなく単価もだ
+15.3%
2026年1–8月のレンズ一体型出荷の伸び(CIPA)
同じ期間にカメラ全体は−3.2%。回復は業界全体の水位ではなく、カテゴリーの現象だ
分類は正確にしておく。PENはレンズ交換式で、この表には入らない。この表が証明するのは「PENが売れる」ことではなく、「レトロな造形とフィルムの色調に払う買い手が、2年連続で業界統計を動かす規模になった」ことだ。そしてこの買い手は、従来のどのメーカーの計画データにもいなかった。スマートフォンで写真を覚えた世代で、カメラを買う理由は「フィルムのように撮りたい、きちんとしたカメラで撮りたい」。入口はSNSと中古市場であって、前のカメラからの買い替え周期ではない。買い替え周期で計画を組むメーカーは、この層を構造的に見落とす。
四、同じ病:富士とリコーは4年先に病んでいた
この層を見落としたのは、OMが初めてではない。程度では、むしろOMが一番軽い。
富士フイルムのX100Vは2022年11月に受注を停止した。公式の説明は、注文が計画をはるかに超えたというものだった。その後、受注は二度と再開されず、この機種は品薄のまま製品寿命を終えた。後継のX100VIは2024年3月に発売された。富士フイルムは教訓を生かし、前機種の2倍の需要を見込んで生産計画を組んだ(同社の公式な世界的告知)。生産は月産約1万5000台(Reuters報道)まで引き上げられた。それでも品薄は長く続き、納品には月単位の時間がかかった。計画を倍にしても足りなかったという事実は、過小評価の正体が「控えめな係数」ではなく「丸ごと一つの買い手集団」だったことを示す。
リコーのGRシリーズは2024年3月に全機種の受注を一時停止した。公式の文面は「計画を大幅に上回る注文をいただき、増産を進めているが生産が追いつかない」。同年8月から一部機種が再開したが、方式は抽選販売になった。抽選で機会を配る仕組み自体が、供給が需要に長く追いつかないことの制度的な承認だ。
3社を並べると、型は完全に同じだ。レトロな造形かフィルムの色調。日常の持ち歩き。計画は既存ユーザーの規模で組まれ、計画外の需要に突き破られる。違うのは突き破られるまでの速さだけだ。富士は数週間、リコーは数年の蓄積、そしてOMは2日だった。
五、供給の側:増産は一言ではできない
では、なぜ臨時で増やさないのか。OMがどんな会社かを見れば分かる。
OMデジタルは2021年にオリンパスから分離し、親は投資ファンドのJIP。分離時点の従業員は世界で約2,000人。生産はベトナム・ドンナイ省の1拠点に集約され、2008年からこの地で作り続けている。非上場で、販売台数も生産台数も利益も公表しない。この規模のメーカーにとって、カメラの生産はロット単位で回る。1ロットの量は発売の数か月前に固定され、追加には再び段取りと部品の手配が要り、時間は月単位でかかる。10月21日に発売を11月28日へ移した判断は、ちょうど生産1サイクル分の時間を買う動きだった。
より本質的なのは、リスクの非対称だ。備えが足りなければ、代償は謝罪と延期と報道。備えすぎて売れ残れば、代償は即座に確定する在庫の損失だ。ファンドの傘下で現金の規律が優先される会社では、計画表は構造的に小さく置かれる。これは失敗というより、誘因の帰結だ。ただし今回は、その「堅さ」が需要の構造変化と正面からぶつかった。
除外できることは除外しておく。「部品不足」の証拠はない。センサーもエンジンも生産中の現行品だ。ボディと同時に発表された14-42mm F3.5-5.6 IIIのレンズ単体は、10月30日に予定どおり発売された。サプライチェーン全体が詰まっているなら、レンズだけが無事ではいられない。誠実な留保を一つ。新バッテリーBLS-7と充電器BCS-7も延期の対象で、これらはボディに付随し、ボディと同便で届く。個別の新しい付属品の納品リズムをボディと完全に切り分ける公開情報はない。ただ、同社自身の帰因は、3通を通じて予約量の一点だけだった。
六、それぞれが欲しいもの
OMデジタルが欲しいものは2つある。 一つは、PENをOM SYSTEMの入り口にすることだ。OM-1とOM-5がアウトドアと愛好家を守り、PENが新しいユーザーをマイクロフォーサーズのレンズ生態系へ招き入れる。ボディの1台は始まりにすぎず、長期の収益はレンズにある。もう一つは、ファンドの傘下で現金の規律を守ることだ。在庫を抱えるくらいなら、品薄で謝るほうがいい。9月9日までは、この2つは矛盾しなかった。その後、矛盾した。
販売店が欲しいのは確実さだ。 X100VIの発売時に「発売直後に受注停止」となった混乱は記憶に新しい。OMの今回の判断——全体を遅らせてでも、最も早い予約者に初日に渡す——は、販路にとってはるかに実行可能な形だ。代償は、全員が1か月待つことである。
既存ユーザーが欲しいのは、5年待ったPENだ。 前機種のE-P7は2021年、PEN-Fのファインダーに至っては10年前の記憶だ。この層の量を、OMは最も正確に読んでいた。そして実際、この層こそが発表当日に予約した人たちだ。
新しい買い手が欲しいのは「カメラの姿」だ。 マイクロフォーサーズへの忠誠はない。富士、リコー、OMを、造形と色調と「フィルムの味」が出せるかどうかで横並びに比べる。その量は誰にも読めない。現れ方が、販売履歴ではなくSNSの熱量だからだ。
七、私たちの判断
見方
まず枠組みを明示する。以下では、この出来事を3つの層で見る。需要予測、供給計画、購入体験。これは本誌の分析の枠組みであって、会社が公表した内部の理由ではない。予約台数も生産台数も、財務への影響も公表されていない。確認できることと、推し量るしかないことを分けて書く。
公式の文面で確認できること ——予約は当初の想定を大幅に上回った。10月30日に発売すれば、発売日に受け取れる客は一部に限られる。同社は、最も早い予約者の分を確保してから発売すると決めた。この層に限れば、延期は明示された配分の選択だ。全員が29日長く待つ代わりに、最初の層の納品に先後を作らない。
少なく見積もった(需要予測と供給計画)——推論として成り立つ。近因だ。 発表の翌日にお届けの遅れを謝罪した以上、最初のロットは発表当日に埋まっていた。その後1か月で告知が2度重くなった事実は、後続ロットの段取りもこの速度に追いついていなかったことを示す。供給側の形も同じ方向を向く。ベトナムの単一工場、ロット単位の生産、ファンド傘下の現金の規律。計画は構造的に小さく置かれ、追加は月単位だ。
見落とした(需要予測)——推論として成り立つ。深因だ。 コンパクト出荷の2年連続の増加、倍の備えでも足りなかった富士、受注停止から抽選に移ったリコー。3つは同じ買い手を指す。買い替えデータの外にいて、スマートフォンとSNSから来る層だ。OMの公式発表は対象を「熟練の愛好家から始めたばかりの人まで」と書いたが、初回生産量が用意されていたのは、明らかに前者の分だけだった。
部品が足りない——証拠がない。 告知は3通とも予約量だけに触れた。中核部品は生産中の現行品で、同時発表のレンズ単体は予定どおり発売された。
意図的な品薄——証拠がなく、行動は逆だ。 希少性を作りたい会社は、謝罪を3度重ねたりはしない。記念キャンペーンの締切を5か月延ばして埋め合わせたりもしないし、最も早い予約者に初日に渡すために発売全体を遅らせたりもしない。希少性の演出が必要とするのは「買えないこと」であり、OMが今回の労力を注いだのは「順番に、全員が手にすること」だった。
11月28日への延期で、問題は解けるのか。分けて考える。同社が約束したのは「9月10日までに予約した顧客の分を確保して発売する」ことで、範囲は限られ、生産1サイクル分の時間も得た。本誌は、この約束はおそらく果たされると判断する。ただし、10月7日の告知にあった「機種と色によっては2027年春以降の納品」という尾は、発売日を1か月ずらしただけでは消えない。11月28日の発売日に、それより後に予約した人がどれだけ待つのか。そちらが本当の試験だ。
この判断が覆るのは、どういうときか。
- 11月28日の発売後、数週間で供給が平常に戻り、新しい遅延告知が出なければ——「初回ロットの見積もり違い」という一過性の判断が成り立ち、本稿の見立ては検証を通過する。
- 発売後に再び受注が止まり、納品が2027年春へずれ込むなら——制約は需要予測ではなく生産能力の側にあり、「人を見落とした」は半分しか正しくない。判断は書き直しになる。
- 発売後にたちまち売れ残り、中古価格が定価を割るなら——「需要の過小評価」という前提自体が誤りであり、本誌は訂正を公表する。
出典・参考資料
- OMデジタル公式発表(2026年9月9日):OM SYSTEM PENの発表、防塵・防滴と電子ファインダー、価格。英文公式稿 https://www.dpreview.com/om-system-pen-2026-press-release/ ;日本語公式稿の転載(価格.com) https://news.kakaku.com/prdnews/cd=camera/ctcd=0049/id=158737/
- OMデジタル公式告知(2026年9月10日)「お届け遅延のお詫び」およびデジカメ Watchの報道(2026年9月11日):一部の納品が11月以降に https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/2140198.html
- OMデジタル公式稿(2026年10月7日、PR TIMES):発売日を10月30日に決定。機種と色によっては2027年春以降の納品 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000155.000071595.html
- OMデジタル公式・発売延期の告知(2026年10月21日):発売を11月28日へ延期、9月10日までの予約分を確保、キャンペーン締切を2027年4月19日へ延長 https://jp.omsystem.com/information/detail/in20261021.pdf ;デジカメ Watchの報道 https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/2149904.html
- CIPA(カメラ映像機器工業会)2025年生産出荷実績:世界総出荷9,438,876台、レンズ一体型2,436,911台(+29.6%)、金額+48.9%。日本国内のレンズ一体型は金額+62.0%(デジカメ Watch、CIPA公表の転載) https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/2090102.html
- CIPAの推移:コンパクトは2023年に約170万台の底、2024–2025年と2年連続増(ギズモード・ジャパン、CIPAデータ) https://www.gizmodo.jp/article/compact_camera_growth/ ;CIPA 2026年1–8月:レンズ一体型+15.3%、カメラ全体−3.2%(RedShark、CIPA集計の転載) https://www.redsharknews.com/cipa-camera-shipments-august-2026
- 富士フイルム公式告知:X100Vの販売終了(2022年11月から受注停止、再開せず) https://www.fujifilm.com/ffis/ja/news/146 ;X100VIの納品遅延と増産(2024年) https://www.fujifilm.com/ffis/ja/news/150 ;富士フイルム公式の世界的告知:X100Vの2倍の需要を見込んだ生産計画(富士フイルム韓国の転載) https://fujifilm-korea.co.kr/support/notice/id/11042 ;X100VIの月産約1万5000台はReutersの報道で、Fstoppersが転載 https://fstoppers.com/business/why-still-cant-buy-fujifilm-x100vi-or-ricoh-gr-iv-real-story-behind-shortages-717649
- リコーイメージング公式告知:GRシリーズ受注一時停止(2024年3月8日) https://news.ricoh-imaging.co.jp/rim_info/2024/20240308_039678.html ;一部の受注再開と抽選販売(2024年8月8日) https://news.ricoh-imaging.co.jp/rim_info/2024/20240808_040213.html
- オリンパス公式発表(2021年1月4日):映像事業の譲渡完了、生産はベトナム・ドンナイ省 https://www.olympus-global.com/news/2021/nr02010.html
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