特集マーケット

日本の中古品は、なぜ世界で売れるのか?

カメラ、トレーディングカード、ブランド品——日本の中古品は三つの主な経路で世界に届く。eBay直販、Mercari+購入代行、コメ兵の自営で、経路同士がつながる場合もある。まず三つの数字を分ける。73%は金額ではなくセラー数、1,122億円には新品が含まれ、33.2%は利益ではなく売上構成だ。経路が回っていることは証明済みだが、鑑定が1点の価格をいくら押し上げるか、対照データは今もない。

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日本の中古品が世界で売れるのは、安さのせいではない——品目によっては、むしろ高く売れる。一点ごとの状態が記録に残り、その記録は検証に耐える。海外の買い手が上乗せして払っているのは、その確かさの分だ

中古カメラとレンズ · 中古の時計 · レトロゲーム · アニメと収集カード——対象は、日本市場に流通し、海外へ売られる中古品。

見つけられる

世界の市場、国内プラットフォーム、越境サービスに並び、検索できる

確かめられる

実物の写真、型番、状態の開示と格付け・鑑定。買い手が自分で判断できる

買える

決済、購入代行、国際配送が注文から受け取りまでをつなぐ

73%

一つの証拠 · 2025年、eBayの日本のセラーの73%が新品でない商品を売っていた

金額ではなくセラー数(eBay『Used in Japan Report』)——すでに使われている

三つのステップは記録が買い手に届く道筋。これは説明の枠組みで、因果の寄与度を測ったものではない。

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どの品目が国外へ出ているか

なぜ日本の中古品を買うのか。理由は品目で違う——絶版と希少さ、日本にしかない在庫、状態と記録、価格。証拠の確かさも品目で違う——カメラとカードが最も確かで、ゲームとアニメは自己申告が多く、楽器には確認できる海外データがほぼない。

カメラとレンズ

価値の源保存状態の良さと型番の豊富さ。日本のeBayセラーのデジタルカメラ販売の約8割が中古(2025年第1四半期)、カメラ・写真機材は越境取引額で第2位

主な販路eBay直販が中心、専門カメラ店が供給

リスク機能やカビの確認は出品者の説明頼み。越境返品のコストが高い

トレーディングカード

価値の源絶版と希少さ。グレーディングが状態を点数に変え、鑑定済みカードの販売は2026年第2四半期に前年同期の約2倍(eBay)

主な販路eBay+米PSAのグレーディング、国内プラットフォームからは代行経由

リスク「5倍」は別々のカード同士の価格差で、グレーディングが稼いだ上乗せではない

時計とラグジュアリー

価値の源ラグジュアリー消費大国の在庫の厚さと状態の記録。専門店の海外+免税の合計比率は1年で33.2%に

主な販路コメ兵など専門店の自営、eBayの真贋保証配送

リスク偽物リスクが最大。プラットフォーム鑑定はバッグ・ジュエリー・時計の3品目だけ

ゲームとアニメ収集品

価値の源日本版の限定品と保存状態が売り。駿河屋の海外通販は年商約30億円規模(社長インタビュー)

主な販路駿河屋の海外サイト、まんだらけ通販、購入代行

リスク海外の開示が最も少なく、規模は自己申告が多い。まんだらけは海外比率を公表していない

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三つの経路、一枚の図

同じ中古品でも、海外の買い手に届く道は三通り。手数料が違い、負う責任も違う。

三つの経路

供給 · 日本国内

個人の出品者と家庭

在庫

カメラやカード、ブランド品。まず国内プラットフォームに出すか、買取店に売る

買取店と専門店

選別と格付け

コメ兵や駿河屋が買い取り、状態ごとに振り分ける

経路 · 三つのつなぎ方

eBay

世界への直販

出品者が世界の買い手と直接向き合う。鑑定センターと買い手保護はプラットフォーム、関税は出品者側

Mercari+購入代行

国内で完結、代理が国外へ

出品者は国内の代行会社へ送るだけ。代行が受け取り、簡単な検品をして海外へ転送する

コメ兵

専門店の自営

自分で海外店を開き、自分で鑑定・整備する。信頼は自社の看板に懸かる

買い手 · 世界

海外の買い手

画面越しに注文

買っているのは商品と「状態の記録」。問題が起きたときの相手は、経路でまったく違う

出品者がどの層で手放すかで、海外の買い手・関税・返品と向き合うかどうかが決まる。

経路同士がつながる場合もある。 楽天ラクマの公式ショップ(リユース事業者が中心)は2025年2月から、公式プランで商品をeBayの米国サイトに直接出品している。英語でのやり取りと国際配送はラクマ側が担い、ショップは国内とほぼ同じ手順で海外に売れる。対象商品はeBay真贋保証の対象(まずはハンドバッグから)。

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実物を見ずに、なぜ買えるのか

買い手が注文できるのは、度胸のおかげではない。「売り手だけが知っている」状態を、確認できる記録に書き換える仕組みがあるからだ。七つの工程があり、薄くなった工程からリスクが漏れる。

1

特定

何か、何年式か、どの版か

2

検査

状態と傷を一つずつ書き留める

3

鑑定

真贋と格付けに、第三者か専門店が署名する

4

価格付け

物語ではなく記録で値段を決める

5

出品

買い手の言語に訳し、買い手のいる場所へ

6

物流

関税と配送、追跡を誰かが担う

7

アフター

商品が説明と違えば、誰かが責任を取る

購入代行の経路では、この連鎖は目に見えて薄くなる。検査は外観だけ、鑑定は不在、アフターは各社の規約で厳しく限られ、規約が及ばない部分のリスクは買い手側に残る。

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一つの代金、三つの分け方

成約価格は利益ではない。同じ代金が、三つの経路ではまったく違う相手に分かれる。

同じ代金、三つの行き先

三つの経路

eBay直販

手数料を取る

プラットフォームは送料込み総額の約13.6%+1件0.40ドル。鑑定はeBay負担で出品者は無料。国際送料・関税・返品は出品者側

Mercari+購入代行

二段の料金

出品者はMercariに10%を払い、取引は日本国内で終わる。海外の買い手が別途、代行手数料(Buyeeは1注文500円)、検品・保証プラン(1注文300–500円)、二区間の送料を払う

コメ兵の自営

すべて価格差で賄う

手数料表はない。安く買い取り、鑑定・整備を経て上乗せして売る。鑑定士、店舗、海外運営はすべて価格差から出て、1点ごとの価格差は公開されていない

分け方が違えば、先にお金を受け取る者も、計算違いの代償を負う者も違う。

計算例(仮の数字で、業界の利益率ではない): 送料込み20,000円でeBayで売れたとする。プラットフォームが約2,720円+0.40ドルを取り、出品者は国際送料と関税処理のコストを負担する。20,000円は成約価格であって手取りではない。コストは品目と仕向地で変わり、出品者の純利益は誰も公表していない。

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三本の柱:品・経路・記録

六つの節を終えて、仕組みを三本の柱に戻す。各柱に、いちばん固い証拠と、その限界を添える。

三本の柱の証拠と限界

仕組みの総括

買える品がある

支柱一 · 品

代表品目はカメラ・時計・レトロゲーム・収集品。証拠:コメ兵1社の個人買取額は2026年3月期に1,041億円。限界:在庫の厚さは「売れる」ことではない——楽器には確認できる海外データが今もない

売れる道がある

支柱二 · 経路

三つの経路にはそれぞれ量の証拠がある。eBayのセラー数は年平均+19%/Mercari越境取引額1,122億円(新品を含む)/コメ兵の海外+免税の合計比率33.2%——基準が違い、足せない。限界:経路は協力し、交差する。独立した三本の道ではない

確かめられる記録がある

支柱三 · 記録

五つの仕事が分担する——状態の開示、格付け、真贋鑑定、整備、プラットフォームの保証。限界:鑑定はバッグ・ジュエリー・時計の3品目だけで、代行は真贋を見ないと明言している。記録は「存在」を証明したが、「いくらの値打ちか」は証明していない

記録の柱が証明するのは「仕組みが存在する」ことまでだ。その値打ちの線引きは、次のページで。

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判断:何が証明され、何がまだか

証明済み——越境の取引は実際に起き、広く届いている。報告書の基準に合う日本のセラーの集団は2025年、中古品を合計211の海外市場へ売った(範囲は本文第二節)。中古を売るセラー数は2023–2025年に年平均+19%(eBay)。Mercariの越境取引額1,122億円(2026年6月期、新品を含む)、コメ兵の海外+免税の合計は連結売上高の33.2%に相当する(2027年3月期第1四半期)。

未証明——上乗せ価格の内訳。観察できるのは、品目によっては日本発の中古品が他国の同種の品より安くはなく、むしろ高く売れていることだ。だがその価格差のうち、状態の記録・希少さ・為替がそれぞれどれだけを占めるかは、対照データがなく切り分けられない。鑑定と信頼できる情報が同種の商品の価格や純利益をどれだけ押し上げるかも、答えはまだない。

リスクは残る—— 国際配送 · 関税と税金 · 返品 · 責任の所在。どれも消えていない。誰が負うかは、取引の形態と各社の規約で決まる。

日本の中古品の機会は、上乗せ価格だけにあるのではない。地元の不用品がもっと多く、世界の買い手に見つけられ、判断され、買われることにある。

eBayでは日本のセラーの73%が中古品を売っている(2025年、セラー数ベース)。Mercariの越境取引額は1,122億円(2026年6月期、日本の取引額の約9%、新品を含む)。コメ兵の海外売上高と国内免税売上高の合計は連結売上高の33.2%に相当する(2027年3月期第1四半期)。三つの数字は基準が違い、足せない。示すのは経路の拡大で、上乗せ価格の証明ではない。

要点

  1. eBay『Used in Japan Report』(2026年8月):2025年、日本のeBayセラーの73%が中古品を売った(セラー数ベース、金額シェアではない)。中古を扱うセラー数は2023–2025年に年平均19%増えた。「211の市場に販売」は年間売上1万ドル以上の中小セラーだけを数えた数字で、この層は平均20の市場に売り、92%が中古を輸出している。報告書はeBayの政策提言部門の発行で、データは内部データ、外部監査はなく、日本のセラーの中古取引額は一度も公表されていない。
  2. eBay日本の鑑定センター:真贋保証の対象はバッグ(500ドル以上)、ジュエリー(500ドル以上)、時計(2,000ドル以上)の3品目で、米国の買い手向け。2025年4月から日本の全セラーに無料開放され、費用はeBayが負担する。スニーカーとトレーディングカードは日本の鑑定の対象外で、カードの格付けは米国のPSAが行う。
  3. eBayの手数料とルール:主要品目の成約手数料は13.6%(送料込みの成約総額に対して)+1件0.40ドル。2025年10月以降、日本から米国への2,500ドル未満の発送は原則として関税込み(DDP)方式が必須になった。米国の少額免税の撤廃で、関税処理のコストは出品者側に移った。
  4. Mercari:出品者手数料は一律10%。Buyeeは2019年11月からMercariの公式パートナーで、公式アカウントが海外の買い手に代わってMercariで購入し、出品者はBuyeeの国内倉庫へ送るだけでよい。Buyeeの料金は購入手数料が1注文500円、支払手数料は0円。検品プランは1注文300円、配送保証付きプランは同500円、倉庫保管は30日無料。ZenMarketは1点単位の料金(Mercariの商品は1点800円)で、保管は60日無料。FROM JAPANはサービス料1点500円に商品保証プラン1点500円、保管45日無料。
  5. 購入代行の責任の線引き(各社の規約より):代行は売り手ではない。Buyeeは真贋鑑定を行わないと明記し、偽物が届いてもどの保証プランの補償対象にもならない。機能の不具合も補償されず、返品は原則不可。検品系プランを買い、倉庫の検査で商品違いや明らかな破損が見つかった場合に限り、Buyeeが返金する。ZenMarketも真贋を見ず機能も確認しないと明記し、返品は元の出品者の同意が前提で、Mercariとラクマの中古品は「多くの場合、補償できない」としている。
  6. Mercariの自社越境:公式アプリは2025年9月に台湾・香港で始まり、2026年6月に米国へ入り、第三者の代行を経ず、全品を発送前に検査するとうたう。Mercariの越境取引額は2026年6月期に1,122億円で、日本の取引額(1兆2,856億円)の約9%。ただし新品を含む数字で、中古の取引額ではない。
  7. コメ兵:2026年3月期は海外比率12.1%、国内免税比率14.6%で、海外売上高と国内免税売上高の合計は連結売上高の26.7%に相当する。2027年3月期第1四半期(2026年4–6月)は両比率とも16.6%で、合計は33.2%に相当し、グループ店舗は347店(国内304、海外43)。鑑定の体制は、専門部門が鑑定士を育成し(平均約3カ月の課程)、内部認定を通った者だけが査定を担い、商品の検査は最大で5重、海外でも日本と同じ品質管理を行う。
  8. 参考線(中古車):財務省統計では2025年の中古乗用車輸出は1,490,242台(+9.3%)、1兆6,079億円(+17.4%)で、平均単価は約107.9万円(+7.4%、本誌計算)。為替の年平均はほぼ動かず(寄与はほぼゼロ)、一方で新車価格は2年で25%上がり、国内相場と仕向地の構成も変わった。この7.4%は切り分けられず、オークション評価の手柄にはできない。

日本の中古品が世界で売れるのは、三つのものがつながっているからだ。買う価値のある在庫、三つの主な経路、そして状態を確認できる記録に変える仕組み。

三つのものと、証拠の線引き

三つのもの

買う価値のある在庫

柱一・在庫

カメラ・時計・トレーディングカード・ブランド品の在庫の厚さと、状態の記録

三つの主な経路

柱二・経路

eBayの世界直販、Mercariなど国内プラットフォーム+購入代行、コメ兵型の専門店自営——経路同士は協力もすれば交差もする

状態を確認できる記録に変える仕組み

柱三・記録

状態の開示、品目の格付け、真贋鑑定、整備、プラットフォームの保証

証拠の線引き

証明されているのは「量」

証明済み

セラー数・越境取引額・事業者の売上構成にはそれぞれ確認できる伸びがある(基準はそれぞれ違い、足せない)

証明されていないのは「価格」

未証明

鑑定が1点の価格をいくら押し上げるか、対照データは今もない

リスクは分担され、価格が付けられた

リスク

消えたわけではない。購入代行の経路では、各社の規約が覆わない部分は海外の買い手の側に残る

先に登場人物をそろえる:三つの経路の主役たち

eBay Japan——世界直販の経路の運営者。日本の出品者を世界の市場につなぎ、日本に鑑定センターを置いて、バッグ・ジュエリー・時計の真贋を鑑定してから海外の買い手へ直送する。2026年8月に公表した『Used in Japan Report』は本稿の重要な出典だが、同社の政策提言部門が作った提言文書でもある。数字はすべて自社プラットフォームの内部データで、本誌は基準を一つずつ明記する。

Mercariと購入代行各社——国内プラットフォーム+代理の輸出。Mercariは日本最大の個人間取引プラットフォームで、出品者は国内取引しかしない。その商品を国境の外へ運ぶのが購入代行だ。Buyee(tenso株式会社、BEENOSグループ)はMercariの公式パートナーで、ZenMarketとFROM JAPANは独立系の代行会社。各社は自社の名義で日本国内で商品を買い、受け取り、検品し、まとめて海外の買い手へ送る。2025年9月以降、Mercariは海外の買い手向け公式アプリを自ら始め、代行を迂回し始めた。

コメ兵(コメ兵ホールディングス)——専門店自営の代表。自ら買い取り、自ら鑑定し、自ら整備し、自ら海外に店を持つ。決算資料の「海外比率」は海外グループ売上高+輸出売上高(国内免税を含まない)、「国内免税比率」は訪日客が日本の店舗で免税で買った割合。分母はどちらも連結売上高で、互いに重ならない。

PSA——トレーディングカードの認証と格付けを行う米国の会社で、世界最大のカード格付け機関。日本の出品者は利用者であって発明者ではない。カードの「鑑定」は、米国のインフラの上にある。

財務省とUSS(参考線)——中古車は日本最大の中古輸出品目で、財務省統計では2025年に149万台を輸出した。そのオークション評価の仕組み(USS、10段階評価)は「状態を記録に変える」実践として最も古く、最も大きい。本稿では参考事例に下げる。自動車では数十年続いてきたことが証明できても、2025年の中古車輸出の平均価格の上昇のうち、評価制度の分がどれだけかは誰にも切り分けられない。詳細は本文の第五節。

お金の流れ——直販:海外の買い手が支払い → プラットフォームが手数料を取る → 日本の出品者が自分で発送する(または鑑定センター経由)。代行:海外の買い手が代行に支払い → 代行が日本国内で買い取る → 出品者は代行の倉庫へ送って代金を受け取る → 代行がまとめて海外へ送る。専門店:日本の消費者がコメ兵に売る → コメ兵が鑑定・格付け → 国内店・免税店・海外店・オークションへ振り分け。各工程の価格は「この中古品が実際にどんな状態か」という記録への対価だ。その記録がいくらに値するかは、別の問題である。

商品は日本の棚を出て、三つの異なる道で海外の買い手に届く。出品者の直送、代行のまとめ発送、専門店の海外店舗。どの商品も、自分の状態を記した記録を伴っている。その記録を誰が書き、いくらに値し、問題が起きたら、誰に言えばいいのか。本稿が分けたいのはそこだ。
商品は日本の棚を出て、三つの異なる道で海外の買い手に届く。出品者の直送、代行のまとめ発送、専門店の海外店舗。どの商品も、自分の状態を記した記録を伴っている。その記録を誰が書き、いくらに値し、問題が起きたら、誰に言えばいいのか。本稿が分けたいのはそこだ。

一、供給:まず商品、次に経路

「なぜ売れるのか」の前に、日本の手元にどんな中古品があるかを見る。

状態に記録のある在庫。 先に一つ分けておく。本稿の「日本の中古品」は日本の市場に流通する中古品であって、日本製という意味ではない。ブランド品や時計の大半は外国のブランドで、日本の買取と小売のネットワークを経て流れている。その流通の中で、状態は重ねて記録される。車検制度は中古車に整備の記録を連続して残し(自動車は本稿の参考事例。第五節)、専門のカメラ店(マップカメラなど)は中古機材に自社の検査と保証の仕組みを持ち、買取店は格付けごとに選別して価格を付ける。これは「産地の強み」だ。商品の来歴と状態に、裏付けがある。

収集品の在庫の厚さ。 ポケモンカード、ゲームソフト、アニメグッズ。日本は発行地であり、世界最大級の在庫市場でもある。時計とブランド品の在庫は、ラグジュアリー消費大国の数十年の蓄積から来る。コメ兵1社で、2026年3月期の個人買取額は1,041億円に達した。

品目ごとに、越境の証拠の確かさは違う。分けて述べる。

カメラとレンズ

価値の源eBayの2025年第1四半期:日本のセラーのデジタルカメラ販売は前年同期の約1.5倍で、その約8割が中古だった。2026年第2四半期にはカメラ・写真機材が越境取引額で第2位の品目となり、レンズ、フィルムカメラ、デジタルカメラが取引額の上位10位に入った

主な販路主な経路:eBay直販

リスクリスク:機能や光学系の傷は出品者の説明頼みで、越境の返品は高くつく。プラットフォーム鑑定はカメラを対象にしていない

トレーディングカード

価値の源eBay:鑑定済みトレーディングカードは2024年に98%成長した(原報告は金額か件数かを示していない)。2025年のカード全体は前年の約1.74倍で、シングルカードが約7割。2026年第2四半期、鑑定済みカードの販売は前年同期の約2倍

主な販路主な経路:eBay+PSAの格付け、国内プラットフォームは代行経由

リスクリスク:「鑑定済みは未鑑定より5倍以上高い」は別々のカード同士の観察上の価格差で、同じカードの鑑定前後の対照ではない

時計とラグジュアリー

価値の源コメ兵の海外+免税の合計比率は1年で26.7%から33.2%へ上昇した(新規出店の影響を含む)。2025年、金の国内小売価格は約7割上がり、中古の時計とジュエリーの再販価格は素材価格に直接押し上げられた

主な販路主な経路:コメ兵など専門店、eBayの真贋保証配送

リスクリスク:偽物が最も集まる品目。鑑定の範囲は限られ、代行経路は真贋を見ないと明言している

ゲームとアニメ収集品

価値の源駿河屋の海外通販サイトは2019年に開設され、社長インタビューでは年商約30億円規模とされる。2025年8月期の総売上高461.8億円と比べれば、まだ小さい。まんだらけの2025年9月期売上高は151.8億円(+5.0%)だが営業利益は13.7%減り、海外比率は公表していない

主な販路主な経路:駿河屋の海外サイト、まんだらけ通販、購入代行

リスクリスク:海外の規模は自己申告か未開示が大半で、この品目が「爆発している」とは前提にできない

楽器

価値の源石橋楽器は英語の国際サイトとReverbの店舗を持ち、中古とヴィンテージの楽器を実際に世界へ発送している。島村楽器は訪日客の免税対応のみで、国際配送はしないと明示している

主な販路主な経路:石橋楽器の自社越境、eBayのリファービッシュ計画

リスクリスク:公式の輸出額も海外比率も存在しない。証拠が最も弱い品目で、定性的な事実しかない

供給の結論は控えめにする。買う価値のある在庫があるのは事実だが、「良い商品がある」ことと「売れる」ことは同じではない。何千もの家庭と店に分散した商品が、海外の買い手の画面の一品になるまでには、経路一式が要る。

二、三つの道:商品はどう国外へ出るか

越境取引の生態系

供給 · 日本国内

個人の出品者と家庭

在庫

Mercari、ヤフオク、ラクマに出すか、買取店に売る

買取店と専門店

選別と格付け

コメ兵、駿河屋、バイセル:買い取り、鑑定し、格付けごとに振り分ける

経路 · 三つのつなぎ方

eBay

世界への直販

出品者がそのまま世界の市場に並べる。プラットフォームは成約手数料を取り、鑑定センターと買い手保護を提供する

Mercari+購入代行

国内プラットフォーム+代理

出品者の取引は日本国内で完結する。代行会社が買い、受け取り、まとめ、転送して、サービス料を稼ぐ

コメ兵

専門店の自営

自分の店舗、自分の鑑定、自分の看板で、海外と免税店に売る

買い手 · 世界

海外の買い手

注文と責任

eBayにはプラットフォームの保証がある。代行経路では返品と補償が代行各社の規約で限られ、規約の外のリスクは買い手側に残る

三つの経路の違いは送料ではなく、誰が買い手と向き合い、誰が「説明と違う」の責任を負うかにある。

道その一:eBay——出品者が世界と直接向き合う

eBayは三つの道の中で最も「直通」だ。日本の出品者はプラットフォームに出店し、世界の買い手と向き合い、価格付けも発送もアフターも自分の仕事で、プラットフォームは市場と決済、保証のルールと、信頼の仕組みの一部を提供する。

規模感はセラー数から来る。eBayが2026年8月に公表した『Used in Japan Report』によれば、2025年、日本のeBayセラーの73%が中古・リユース品を売り、中古を売るセラー数は2023–2025年に年平均19%増えた。2025年に初めて中古を出品したセラーの61%は、eBayで売ること自体が初めてだった。「211の市場に販売」には厳密な範囲がある。eBayでの年間売上1万ドル以上の中小セラー(報告書の定義)だけを数えたものだ。1人あたり平均では、この層は中古品を20の海外市場へ届け、92%が中古を輸出している。

事実

『Used in Japan Report』の読み方(eBay、2026年8月):発行者はeBayの政策提言部門で、政策主張を含む。数字はすべて内部データで、外部監査はない。公表されているのはセラー数の割合と到達市場の数だけで、中古取引額と件数は一度も出ていない。「家庭の隠れ資産 約91兆円」はMercariの調査の引用だ。本誌はセラー数と品目順位を使い、市場規模の推計には使わない。

プラットフォームはこの道に二つの仕組みを用意した。一つは日本の鑑定センター(2023年12月開設)。バッグ、ジュエリー、時計が基準価格(バッグ500ドル、ジュエリー500ドル、時計2,000ドル。米国の買い手向け)に達すると、出品者はまず国内の鑑定センターへ送り、合格した商品だけがセンターから買い手へ直送され、不合格なら出品者へ返送され、買い手へ返金される。2025年4月からは日本の全セラーに開かれ、鑑定料はeBayが負担し、買い手は一律35ドルの国際送料を払う。範囲に注意したい。スニーカーとトレーディングカードは日本の鑑定サービスの対象外で、カードの格付けは米国のPSAが担う。もう一つは配送と関税のルール化だ。公式配送のSpeedPAKにより、自前の配送契約を持たない個人の出品者でも1個から送れる。ただしコストは上がっている。2025年10月に米国が少額小包の免税をやめたことで、日本から米国への2,500ドル未満の発送は原則として関税込み(DDP)が必須となり、関税と税の処理は出品者側に移った。

この道の勘定:主要品目の成約手数料は13.6%(買い手が払う送料を含む成約総額に対して)+1件0.40ドルで、出品料は月250点まで無料。出品者が稼ぐのは販売価格からこれらと送料を引いた残りだ。プラットフォームが公表するのはいつも取引額の伸びで、出品者の利益ではない。

道その二:Mercari+購入代行——出品者は国外へ出ず、商品だけが出る

第二の道は構造がまったく違う。Mercariの日本の出品者は国内取引を一つするだけだ。国内の住所へ送り、代金を受け取って、取引は終わる。その国内取引を国境の外へつなぐのが、購入代行会社だ。

公式パートナーのBuyeeを例にとると、手順は四つ。海外の買い手がBuyeeで注文する → Buyeeが公式アカウントで買い手に代わってMercariで購入する → 出品者はBuyeeの日本の倉庫へ送る → Buyeeが商品を検査して出品者を評価し(出品者の取引はここで完結)、まとめて海外へ送る。ラクマとBuyeeの提携は2021年6月からで、出品者が海外の買い手と接触することは同様にない。ZenMarketとFROM JAPANは同じ仕組みの独立系代行で、ヤフオクや楽天市場など、より多くのサイトに対応する。

ラクマはもう一本、代行を経ない公式の経路も持っている。公式ショップ(リユース事業者が中心)は2024年5月に試験運用を始め、2025年2月から「ラクマ海外出品おまかせプラン」で商品をeBayの米国サイトに出品している。英語でのやり取りと国際配送はラクマ側が担い、ショップは国内取引の手続きのまま海外に売れる。対象はまずファッション品目で、プランの対象商品はeBay真贋保証の対象にもなっている(まずはハンドバッグから)。三つの道の境界は固くはない。国内プラットフォームが自社の出店者を、そのまま世界の市場へ送り込む例だ。

事実

購入代行の料金(各社の公式サイト、2026年10月確認):Buyeeは購入手数料が1注文500円、支払手数料は0円、まとめ発送は無料、倉庫保管は30日無料。任意プランは1注文単位で、検品プラン300円、配送保証プラン500円、両方入りの標準プラン500円。ZenMarketは1点単位で、通常の店舗は1点500円、Mercariの商品とヤフオクの競売は1点800円。保管は60日無料で、超過すると1点1日50円。FROM JAPANはサービス料1点500円に商品保証プラン1点500円、保管は45日無料。送料は国内・国際の二区間とも買い手の実費負担。

代行が稼ぐのは明確なサービス料であって、価格差ではない。在庫を持たず、価格も決めず、売り手でもない。この位置付けが、次の節で述べる責任の線引きを決める。そしてこの道で最も誤解されやすい点でもある。多くの人は「日本の店から買っている」と思っているが、店との取引はすでに日本国内で完結している。

この道は、プラットフォーム自身によって書き換えられつつある。Mercariはまず2024年8月に台湾の買い手がウェブ版で直接注文できるようにし、2025年9月に海外の買い手向け公式アプリ(先行は台湾・香港)を出し、2026年6月に米国へ入った。第三者の代行を経ず、全品を発送前に検査し、破損・紛失を補償するとうたう。越境取引額は2026年6月期に1,122億円となり、日本の取引額の約9%を占める(新品を含む数字で、中古の基準ではない)。代行の仕組みが7年かけて切り開いた道を、プラットフォームはいま一部を自社に取り戻し始めた。代行とプラットフォームの関係は、協力から競合へ移っている。

道その三:コメ兵——専門店そのものが経路になる

第三の道にはプラットフォームも代理もいない。コメ兵は自ら買い取り、自ら鑑定し、自ら価格を付け、自ら海外に店を開いて売る。買い手が向き合うのは、最初から最後まで同じ一社だ。

その信頼の仕組みは三つの道の中で最も重く、各工程に公式の説明がある。

事実

コメ兵の品質管理(同社の公式説明):専門の部門が鑑定士と販売員を育成する。平均約3カ月の課程で各品目の商品知識と真贋の見分けを学び、内部認定(複数の審査すべてに合格)を通った者だけが査定を担い、就任後もベテラン鑑定士の遠隔フォローと定期研修が続く。ブランドバッグなどにはAIの真贋鑑定の補助もある。買い取った商品は商品センターに集められ、ベテラン鑑定士が傷と格付けの妥当性を再確認し、専門の担当が洗浄・研磨・宝石の研磨や時計のオーバーホールなどの整備をしてから販売する。オークション出品前の検査まで含め、商品の検査は最大で5重。同社は大規模な商品・取引データベースを維持し、同業者と偽造品の情報を共有する。公式説明は、海外でも日本と同じ品質管理を行うと明記している。

帳簿の結果:2026年3月期、コメ兵の売上高は2,217億円(+39.4%)、個人買取額は1,041億円(+32.0%)。海外比率12.1%、国内免税比率14.6%で、海外売上高と国内免税売上高の合計は連結売上高の26.7%に相当する。2027年3月期第1四半期(2026年4–6月)は売上高658.2億円(+42.7%)で、両比率とも16.6%、合計は33.2%に相当し、グループ店舗は347店、うち海外43店。この比率の読み方は控えめにすべきだ。示しているのは売上構成のうち「海外の買い手に向けたもの」の割合で、利益のうち鑑定で稼いだ分ではない。比率の上昇には急速な出店の影響も混ざり、決算は切り分けていない。新しい第2四半期の数字は2026年11月12日に公表予定で、本稿の締切時点ではまだ出ていない。

国外への出し方は店舗だけではない。コメ兵はeBayに公式店舗を持つ(2015年から。売上高は非開示)。同社のB2Bオークションには累計2,700社を超える参加企業があり、海外企業もその中で競っている。面白いのは、同社の国内ネットショップは日本国内にしか送らず、海外の買い手が買うにはWorldShoppingBIZのような代行が要る点だ。最も専門的な店でさえ、ネットショップの一枠では第二の道を借りている。

同業ではバイセルもある。格付けで行き先を分ける発想が最もよく分かる例だ。状態の劣るC・D級のブランド品は中国へ運んで修理し、ライブ配信で売り、状態の良いS・A級は米国などへ売る。その杭州の合弁会社は2026年10月16日に設立され、12月1日に営業を始める予定だが、事業量の開示はまだ何もない。

三、実物を見ていないのに、なぜ買えるのか

中古取引の根本の難しさは、情報が片側にしかないことだ。状態、真贋、修理歴は、売り手だけが知っている。買い手は確かめられないので平均的な状態を前提に値段を付け、良い商品まで安く買い叩かれ、誠実な売り手が去っていく。経済学でいう「レモン市場」だ。越境はこの問題を拡大する。買い手は返品すら容易にできない。

三つの経路の答えは、「売り手だけが知っている」情報を、買い手が確かめられる記録に変えることだ。ただしこれは五つの異なる仕事の集まりで、コストも信頼性もそれぞれ違う。

  • 状態の開示:売り手が傷を正直に書く。オークションの評価書がその大規模な形だ。USSの検査員が1台ごとに10段階で評価し、結果はデータベースで検索できる。確かめるのは「本物かどうか」ではなく「何を経てきたか」だ。
  • 品目の格付け:状態を点数にする。トレーディングカードの格付けは米国のPSAが行い、点数はカードと一緒に動き、世界の買い手が同じ物差しを使う。
  • 真贋鑑定:「本物かどうか」に答える。eBayの日本の鑑定センターがバッグ・ジュエリー・時計について行い、コメ兵は自社の鑑定士とAIの補助に頼る。購入代行の経路は、これをしないと明言している。
  • 整備:商品を直し、洗い、磨いてから売る。コメ兵の商品センターやカメラ店の検査・保証がこれに当たる。状態を説明するだけでなく、状態そのものを変える。
  • プラットフォームの保証:問題が起きたら誰かが補償する。eBayの買い手保護や、Mercari公式アプリの破損・紛失補償がこれだ。情報を改善するのではなく、結果を引き受ける。

商品が出品から到着までに経る連鎖は、七つの工程からなる。

1

特定

型番・年式・版をまず合わせる

2

検査

状態と傷を一つずつ記録する

3

鑑定

真贋と等級に誰かが署名する

4

価格付け

記録に基づいて値段を決める

5

出品

翻訳し、買い手のいるプラットフォームに並べる

6

物流

関税と配送がルール通りに進む

7

アフター

説明と違ったときの処理の道筋

三つの経路では、この連鎖の厚さがまったく違う。eBayの道:出品と物流はプラットフォームの道具に乗り、鑑定は3品目だけを覆い、アフターはプラットフォームの保証が下支えする。コメ兵の道:七工程すべてが自社の中にあり、連鎖は最も厚く、コストも最も高く、すべて価格差の中にある。代行の道:連鎖は目に見えて薄い。倉庫の検査は「注文と合っているか、明らかな破損がないか」を確かめるだけで、鑑定の工程は不在で、アフターの工程は各社の規約で厳しく限られ、覆われない部分のリスクは買い手側に残る。

事実

購入代行の責任の線引き(各社の規約とヘルプの要点):Buyee——注文成立後は原則として取消・返品不可で、商品の保証は一切しない。倉庫の検査では真贋鑑定を行わず、偽物が届いても、どの保証プランの補償対象にもならない。家電などの機能の不具合も補償されない。検品系プランを買い、倉庫の検査で注文との相違や明らかな破損が見つかった場合に限り、Buyeeが返金する。ZenMarket——機能を確認せず、真贋も見ない(公式サイトに「しないこと」の一覧がある)。返品は元の出品者の同意が前提で、返金は出品者からZenMarketへの返金が確認された後に行われる。Mercariとラクマの中古品は「多くの場合、補償できない」。FROM JAPANの保証も、料金を取る追加プランだ。

だから「買える」の正確な言い方はこうだ。リスクは消えていない。分担されたのだ。記録にできる状態のリスクは、開示・格付け・鑑定が引き下げる。残りは、プラットフォームの道では保証条項が、専門店の道では店の看板が受け止め、代行の道では買い手に明示的に残され、その小さな一部(商品違い・破損・紛失)だけが、1注文数百円の任意プランとして買い手に売られる。リスクは移され、価格が付けられた。これが本稿と「信頼で世界に売れている」式の語りとの最も重要な境界だ。

四、一つの取引で、誰が何を稼ぐか

三つの道のお金を並べてみる(料率は2026年10月時点の各社の公式ページ)。

eBayの道:海外の買い手が商品代金と送料を払う → プラットフォームが成約総額の約13.6%+1件0.40ドルを取る → 出品者は発送と(米国向けの)DDPの関税処理を担う。鑑定センターを通る商品は、鑑定料をプラットフォームが持ち、買い手が35ドルの一律国際送料を払う。出品者が稼ぐのは販売価格とコストの差、プラットフォームが稼ぐのは手数料だ。手数料はプラットフォームの売上であり、出品者の利益ではない。

Mercari+購入代行の道:出品者はMercariで成約し、10%の手数料を払い、受け取るのは国内の販売価格そのものだ。この取引では「海外の上乗せ」は出品者の手に渡らない。海外の買い手は商品代金のほかに、代行手数料(Buyeeは1注文500円、ZenMarketは1点500–800円)、任意の保証プラン(1注文・1点あたり300–500円)、国内と国際の二区間の送料を払う。代行はサービス料を稼ぎ、商品がいくらで売れたかには連動せず、商品の真贋や機能にも責任を負わない。

コメ兵の道:手数料表はない。お金は価格差の中にある。買取価格と販売価格の差が、鑑定士、商品センター、整備、店舗、海外運営のすべてのコストを賄わなければならない。グループの営業利益は公開されている(2026年3月期92.9億円)が、1点ごとの価格差は決して開示されない。「高く売れる」と「儲かる」は、この道でも同じではない。

三つの道の共通点:出品者の純利益や、一つの取引の利益配分を公表した者はいない。 プラットフォーム報告の取引額の伸びも、専門店の決算の売上構成も、「量」の証拠だ。成約価格を利益と読み、取引額をどこかの国の出品者の収入と読むのは、この種の題材で最も多い誤読で、本誌はしない。

五、反論:天秤に載せるべき五つの説明

一、プラットフォームのデータには立場がある。 『Used in Japan Report』はプラットフォームの政策提言部門の作で、「Used in Japan」を輸出の戦略分野に押し上げ、古物営業の実務負担の軽減を主張することが目的だ。宣伝文書であると同時に、働きかけの文書でもある。数字はすべて自社プラットフォームの内部データで、73%はセラー数、211の市場は成功した出品者の部分集合、中古の取引額は公表されていない。Mercariの越境取引額には新品が含まれる。駿河屋の海外年商は社長インタビューから来ている。これらの数字は「経路が伸びている」を言うには使えるが、「日本の中古市場の規模」を推計するには使えない。本誌は、どのプラットフォームの量も互いに足し合わせない。

二、円安の水位。 2025年のドル円の年平均は2024年とほぼ変わらないので、為替は「この1年の伸び」を説明できない。しかし1ドル150円前後の水位そのものが、日本の中古品を海外の買い手にとって全面的に割安に見せ、需要の総量を下支えしている。水位が引くとき(円が持続的に強くなるとき)、三つの経路の量は「信頼」よりも先に試される。

三、素材価格と一次価格。 2025年、金の国内小売価格は約7割上がった(田中貴金属:1月の月平均13,676円/グラム、12月の最高値25,015円/グラム)。中古の時計とジュエリーの再販価格は直接押し上げられた。ブランド各社が新品価格を上げ続けることも、中古相場全体を持ち上げる。この分の上昇は、鑑定にも経路にも属さない。

四、すべての品目が伸びているわけではない。 楽器には公式の海外データが一切ない。まんだらけは売上が伸びる一方で営業利益が減った。駿河屋の海外通販の年商約30億円は、総売上高461.8億円に対してまだ1桁の割合だ(本誌が二つの数字から計算)。「日本の中古品が全面的に世界で大人気」は本稿の結論ではない。証拠は品目ごと、経路ごとに厚い薄いがある。

五、参考線:中古車の価格は今も切り分けられない。 日本最大の中古輸出品目では、2025年に輸出金額+17.4%、台数+9.3%、平均単価+7.4%だった(財務省)。為替の寄与はほぼゼロだが、新車価格の2年で25%の上昇、国内オークション相場の上昇、仕向地構成の変化(UAEの割合が上がり、ロシアが下がった)が同時に存在する。数十年回ってきたオークション評価の仕組みが、この7.4%のうちどれだけを占めるか、データからは切り分けられない。まさにそこが要点だ。仕組みの存在は証明できるが、その価格への寄与は断言できない。維持コストについての注記を一つ。評価書に値打ちがあるからこそ、偽造された評価書が出回る。JUMVEAの公式サイトは、偽造・改ざんされた日本の評価書が海外で流通していることへの注意喚起を常時掲げている。信頼の記録そのものが、それを保つためのお金を必要とする。

六、私たちの判断:三本の柱、二つは証明済み、一つは保留

見方

日本の中古品が世界で売れるのは、三本の柱による。一本目は商品そのものだ。状態と記録、保存の具合、ラグジュアリーと収集品の在庫の厚さ。これは産地の強みで、経路では代替できない。二本目は経路だ。eBayの直販、国内プラットフォーム+購入代行、専門店の自営という三つの主な経路が、分散した供給を世界の買い手の前に運ぶ。この柱は証明されている。三つの経路にはそれぞれ、確認できる量の伸びがある(eBayのセラー数、Mercariの越境取引額、コメ兵の売上構成)。経路同士は隔てられてもいない。ラクマは自社のショップをそのままeBayに送り込み、コメ兵の国内ネットショップも購入代行を借りている。三本目は仕組みだ。開示、格付け、鑑定、整備、保証が、状態を確認できる記録に変え、買い手が実物を見ずに注文できるようにする。ただしその限界も同じくらい明確だ。リスクは分担され価格が付けられたのであって、消滅したのではない。代行の経路では、各社の規約が覆わない部分が買い手側に残る。

証明されていないのは、仕組みの「価格への寄与」だ。鑑定が1点の価格をいくら押し上げるかには、今も同じ条件での対照データがない。「5倍の価格差」は別々のカードについての観察であって、答えではない。各者が何を狙っているかは複雑ではない。出品者は世界の買い手の値段を狙い、プラットフォームは取引額と手数料を狙い、代行は1注文数百円のサービス料を狙い、専門店は価格差を狙い、買い手は「自分で現物を確認しなくて済むこと」を買っている。この仕組みが続くかどうかは、記録を保つコスト(鑑定、再確認、偽造対策、関税対応)が、価格差とサービス料よりも速く膨らむかどうかに懸かっている。

三種類の指標を見る:

  • 市場の表れ:Mercariの翌年度の越境取引額と、日本の取引額に対する比率(現在約9%)。コメ兵の2027年3月期通年(2027年5月公表)の海外+免税の合計比率。中古乗用車の2026年の輸出台数・金額・平均単価。
  • 事業の型:Mercari公式アプリの50の国・地域への拡大(同社の目標は2028年)の進み方と、代行各社の対応。コメ兵の第2四半期(2026年11月12日公表)が最も近い確認点だ。代行の規約に「真贋を見る」類の保証が現れれば、リスクの価格付けが書き換わったことになる。
  • 仕組みの証拠:同じカードの種類・同じ格付けの条件で、鑑定やグレーディングと成約価格・成約率を対照したデータが、プラットフォームか研究者によって公表されるかどうか。今は存在しない。これはすでに用意された監視指標ではなく、次の調査に残された問いだ。

出典・参考資料

  1. eBay Japan『Used in Japan Report』(2026年8月、eBay政策提言部門):日本のセラーの73%が中古品を扱う(セラー数ベース)、中古セラー数は年平均+19%、年間売上1万ドル以上の中小セラーが211の市場に販売 https://www.ebay.co.jp/release/20260807/
  2. eBay Japan『2025年 年間越境ECレポート』(2026年3月9日):取引額の品目順位、トレーディングカードは前年の約1.74倍、シングルカードが約7割 https://www.ebay.co.jp/release/20260309/
  3. eBay Japan 2025年第1四半期の発表:デジタルカメラの販売は約1.5倍、中古が約8割 https://www.ebay.co.jp/image/preview/media/Pressrelease20250520.pdf ;2026年第2四半期の報道(Impress Watch、eBay Japanの発表を転述):カメラが取引額第2位の品目、鑑定済みカードは約2倍 https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/2136966.html
  4. eBay真贋保証(日本):対象品目と基準価格、2025年4月から全セラーに無料開放 https://www.ebay.co.jp/authenticity-guarantee/ ;eBayの販売手数料(主要品目は13.6%+1件ごとの手数料) https://www.ebay.com/help/selling/fees-credits-invoices/selling-fees?id=4822 ;米国向けDDPの案内 https://www.ebay.co.jp/ddp-info
  5. Mercari・BEENOSのプレスリリース(2019年11月15日):MercariとBuyeeの越境提携の開始と、Buyeeの購入代行の流れ https://about.mercari.com/en/press/news/articles/20191115_crossborder-2/
  6. Mercari公式アプリの越境発表(2025年9月30日、米国開始は2026年6月18日):第三者の代行を経ないこと、全品の検査と補償 https://about.mercari.com/en/press/news/articles/20250930_crossborder/ ;Mercari 2026年6月期決算(2026年8月5日提出):日本の取引額1兆2,856億円、越境取引額1,122億円
  7. Buyee公式:料金ページ(購入手数料は1注文500円、支払手数料0円)https://buyee.jp/ ;プランと保証の説明 https://buyee.jp/helpcenter/guide/plans ;返品と補償の方針 https://bc.help.buyee.jp/en/returns/
  8. ZenMarket公式:料金ページ(1点500円、Mercariの商品は800円、保管60日無料)http://zenmarket.jp/fees.aspx ;利用規約(返品は出品者の同意が前提、真贋も機能も確認しない)https://zenmarket.jp/en/useragreement.aspx
  9. FROM JAPAN公式ガイド(2026年):サービス料1点500円、商品保証プラン1点500円、保管45日無料 https://blog.fromjapan.co.jp/en/how-to/complete-guide-to-buying-from-japan-beginner-friendly-%E2%9C%A8.html
  10. ラクマ公式マガジン(2021年6月17日):Buyeeがラクマ公認の購入代行になり、出品者は海外の買い手と接触しない https://fril.jp/magazine/2021-06-17-130044/ ;楽天グループのプレスリリース(2026年6月24日):ラクマの越境取引は2025年に前年の約1.2倍 https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2026/0624_01.html
  11. 楽天グループ プレスリリース(2024年5月8日、2025年2月7日):ラクマ公式ショップの商品をeBay(米国サイト)へ出品連携する試験運用と、「ラクマ海外出品おまかせプラン」の本格提供。言語対応と国際配送はラクマ側が担い、プランの対象商品はeBay真贋保証の対象(まずはハンドバッグから) https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2025/0207_01.html
  12. コメ兵ホールディングス『2026年3月期 決算説明資料』(2026年5月14日):売上高2,217億円、海外比率12.1%、国内免税比率14.6%、個人買取額1,041億円 https://komehyohds.com/ir/upload_file/m000-/J_2026kessansetsumei.pdf ;『2027年3月期 第1四半期決算説明資料』(2026年8月13日):売上高658.2億円、海外比率16.6%、国内免税比率16.6% https://komehyohds.com/ir/upload_file/m000-/J_2027_1Qhosoku.pdf ;公式「品質管理」:鑑定士の育成と内部認定、最大5重の検査、海外でも同じ品質管理 https://komehyohds.com/sustainability/social/quality.html
  13. 駿河屋(株式会社駿河屋)会社概要:2025年8月期の売上高461.8億円、海外通販サイト駿河屋.COM https://www.suruga-ya.co.jp/ja/company/outline ;東洋経済のインタビュー(2025年9月4日):海外通販は年商約30億円規模 https://toyokeizai.net/articles/-/902327
  14. まんだらけ 2025年9月期決算短信(2025年11月14日):売上高151.8億円(+5.0%)、営業利益17.9億円(−13.7%)、海外比率は非開示 https://www.mandarake.co.jp/dir/company/ir/
  15. 財務省貿易統計(中古乗用車、2025年):輸出1,490,242台(+9.3%)、1兆6,079億円(+17.4%) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?layout=dataset&query=70503011 ;日本銀行の外国為替相場(月次、ドル円の年平均は2024年約151.5円、2025年約149.7円) https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/fm08_m_1.html ;田中貴金属の金価格の推移 https://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/m-gold.php
  16. BuySell Technologiesの開示(2026年8月14日、10月1日):格付けで行き先を分ける計画、杭州の合弁会社は2026年10月16日に設立、12月1日に営業開始 https://www2.jpx.co.jp/disc/76850/140120260814520558.pdf
  • リユース越境
  • eBay
  • Mercari
  • 購入代行
  • コメ兵
  • 鑑定

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